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人生、急ぐなかれ。
夢は追いかけてはいけない。

追いかけるのではなく、やって来るのを待ちなさい。夢は、最適なタイミングで、完璧な順に実現していきます。

憑かれたように突進するのはやめ、洞穴のように心を空にして、鑿の入らない原木のように、どんな可能性も受け入れましょう。立ち止まることを、毎日の習慣にしましょう。

人生行路で出会いたいものは何ですか? それをすべて思い描き、描いたら、それ以上は追わないこと。後は、道(タオ)を信頼して任せましょう。

道(タオ)は天の完璧さをもって働き、この惑星の上に存在する万物と共にあります。強いたり急かしたりする必要は一切ありません。 

人生のでしゃばりな演出家になるのではなく、観察者に徹し、手渡されるものを 素直に受け取りましょう。ゆったりと成り行きに任せるのが、道(タオ)流の生き方に習熟するコツです。

生命の川に入って、ただ静かに、その流れに身を任せなさい。

無駄な奮闘をやめて、道(タオ)の智恵を信頼しましょう。流れに逆らおうとしなければ、あなたの夢はやがて川面を漂っていきます。そろそろあなたの中を流れる永遠の智恵を信頼しましょう。

<中略>

アメリカの詩人ウイッター・ビナーは、1944年に翻訳した『The Way of Life According to Lao Tzu(仮邦題:老子の世界)』で、本章に書かれた道(タオ)をこんな詩にまとめています。

自ら、生命の流れを妨げておいて、
人生が淀んでいると嘆くのかい?
生命の流れるままに流れる者は、
生きるのに他の力は要らない。
その人生には、疲れも涙もない。
修正も見直しも必要ない。

***
『老子が教える 実践 道(タオ)の哲学』は、私にとって特別な一冊です。

著者のウェイン・W・ダイアーは、アメリカの「セルフヘルプ・グル」として、比較的強気の成功実現本を出して一躍有名になりましたが、年齢を重ねるにつれ東洋思想に傾倒し、こちらの本や『ザ・シフト』(DVDもあり)などは彼の晩年の代表作になります。

私は彼が亡くなる数年前に出したこういう本がとても好きです。読んでいると「成功による自己実現も素晴らしいが、そこに東洋思想のような意識が汲まれていなければ、失意や虚しさばかり募るかも知れないよ・・・」という彼の声が聞こえてきそうです。

彼が自己啓発の作家として成功していく過程には、自分達家族を捨てた父親への怒りが原動力としてあったそうです。そしてあるとき、父親のお墓の前で彼を心から許すことができたとき、彼の著作の雰囲気が変わってきたと聞きます。

この『実践 道の哲学』は、「ダイアー博士ちょっと苦手なんだよなぁ~」と思いつつ初めて手にとったとき、これまでの彼のイメージとは随分違う内容で驚いたこと、そしてまるで乾いていた場所に水がどんどん入り込むかのように、書いてあることをぐんぐん飲むことができた、そんな本でした(『オーラヒーリングのちから』が読んだけどなんだかよくわらかないなぁ~だったのとは対照的でした笑)。

一時期は常にバッグの中に入れて持ち歩いていたし、最近も改めて手にとって、やはりハッとさせられました。特にこの「人生、急ぐなかれ」という章のなかに書かれている一文は、最近の私がどうにか早く答えを出したくて焦っていたある事柄、自分の思うがままにできないことに対してストレスを溜めていた事柄に対して、まるで雪解けの光のようにとてもよく効いたのでした。